【お知らせ】 HONDAさんの公式サイト内「原付クラブ」にて、カブに関する記事を担当させていただいています。

>>原付クラブ 山のくらし ときどきカブ by 今井ヨージイラストレーション

23歳の時に買ったアメリカンをカスタムする43歳の記録

カブにしか興味がない絶対実用主義バイカーの私ですが、若かりし頃、唐突に大きなバイクに乗りたくなり、免許取得から国産アメリカン(シャドウ400)の購入まで閃光の速さで駆け抜けた事があります。3,4年は仕事やツーリングで名古屋界隈を真夏も真冬も走り回っていましたが、郵政カブを買ってからさすがに置き場もない上、カブ熱が高まりすぎたので「ちょっと実家の納屋に置いとくか」というつもりで気がつけば18年経っていました。

まだまだ寝かせて老後の嗜みにするつもりでいたのですが、実家の農機が増えて納屋を建て替えることになり、いよいよ「このバイクをどうにかしろ」という事態に。ひとまず我が家のガレージに運んできたのですが、目の前に動かないバイクがあればいじらずにはいられません。さらに、若かりし頃は場所や資金がなくてできなかったイキリカスタムへの情熱にも火が付いてしまったのです。

まずはエンジンをかける

まずはエンジンがかかるのか、というところからですが、カブや農機しかいじっていない農家のとっつぁんレベルの知識で挑みます。タンクは錆でモサモサだったので整備用の点滴からガソリンを送り、車とブースターケーブルをつないでセルを回すと盛大にオーバーフローしました。やはりキャブレターの掃除が必要ということで苦労してキャブを外しましたが、この時点でキャブが2つあることにたじろぎました。V型エンジンなので2気筒なのは分かりますが、キャブも2つあるとは知らず先が思いやられます。

カブよりも複雑でよく分からない部品だらけのキャブを掃除して、何度かトライアンドエラーを繰り返して無事エンジン始動。すごい白煙だったのでエンジンオイルやエレメントを交換しておきます。もちろんバッテリーも新品に。

タンクやフェンダーを交換・加工

シャドウ400 クラシックは、大きな外装パーツで車体を大きく見せるアメリカンでございという風貌なのですが、イキりカスタムのためには逆に小さくシャっとさせていきます。多分それはボバーとかスクランブラーと呼ばれるスタイルなのだと思いますが、そのあたりの分類はよく分かっていません。

色々調べて使えそうな安物パーツを探した結果、タンクは中国製のエイプタンク、フロントフェンダーはシャドウスラッシャーのヤフオクジャンク品、リアフェンダーはノーマルをカットする方向に。

シャドウに純正以外のタンクをつける場合、確実にタンクに干渉するサブエアクリーナーをどう捌くかがポイントになると思います。なんのためにこれがあるのか知りませんし、正直なくても良いのではないかとも思いますが、ホンダがつけてるので素晴らしいものなのでしょう。私は一応残すことにしたので切った貼ったで小型化しました。樹脂製なのでハンダゴテで溶接します。

エイプタンクに鋼材のステーを溶接してシャドウのフレームに合わせます。ちょっと加減を誤れば薄いタンクに穴が開いてオジャンであろう上級者向けの溶接ですが、なぜかうまくいきました。ちゃんとくっついているのでしょうか。

ちなみに、シャドウ純正タンクの容量が14Lに対し、エンプタンク約5.5L。燃費はリッター25km程でリザーブはないため、ガソリン残量をそれなりに気にかけておく必要があります。

リアフェンダーをディスクグラインダーでカット。買ってから20年経っているのでできますが、買ったばかりだったら躊躇してできません。

外装パーツのウレタン塗装

コツコツと下準備をして外装パーツを塗装。過去に郵政カブをソフト99のオーダースプレーとウレタンクリアの缶スプレーで塗装したことがありますが、今回はすでに小さなコンプレッサーを所有しているのでスプレーガンを買って本格的なウレタン塗装に挑戦します。今回選んだ色は、クロスビーのキャラバンアイボリーパールメタリック。初めてのスプレーガンですが無謀にも2コートパールのぶっつけ本番です。1液ウレタンプラサフ → 2液ベースカラー → 2液クリア塗装 の流れ。

【注意】 手間を減らすため1液プラサフを使いましたが、のちに給油口の塗装縁からガソリンが染み込み、周囲の塗装が浮いてきました。おそらく1液はガソリン耐性がないのでタンクでの使用は要注意です。

ぶっつけ本番の素人塗装にしてはまずまずの仕上がりでしたが、若干の吹きムラは2500円のスプレーガンのせいにしておきます。タレや気泡の手直しは大変でした。タンクとフェンダー以外のパーツはマットブラックで塗装。

タンクとガソリンホース、コック類の接続も各継ぎ手の太さがまちまちで苦労しました。

電装品や灯火類の交換など

鋼材でステーを作り、安物の小型ウインカーを設置。同じく激安のテールライトを加工して設置。ナンバープレートのベースとリフレクターは純正を加工して流用。ただし、↓の写真の状態では車検で以下の指摘をされる可能性があります。
・ナンバー灯はもう少し突き出してナンバープレートを照らすこと。
・リフレクターは後続車のライトを反射するようにもう少し倒すこと。

メーターは純正品を流用したいので、タンク右側につけられるようステーとカバーを作って固定。ステーは建築用のダクトバンド、カバーは150円の鉢植えを加工。見る人が見れば漂うホームセンター感を察するでしょう。

ステーを作って安物ヘッドライトに交換

ヘッドライトを交換したのは今回のカスタムの2年後ですが、まとめて紹介しておきます。
大きすぎる純正ヘッドライトを、Amazonで2500円程の謎ヘッドライトに交換。ステーは鋼材を加工して手作りしました。溶接する機会はそれほどないのですが、ステー作りだけ得意になってきました。

中古のキャブトンマフラーに交換

「ファーーーン」という健全なサウンドで若かりし頃から物足りなさを感じていた純正マフラーを、ヤフオクで見つけた中古のキャブトンマフラーに交換してみました。想像を裏切らない迫力のズンドコサウンドにウットリしたものの、いい年のおっさんなのですぐにサイレンサーを注文。大幅に音量が下がり常識的なサウンドになって安心しました。カスタム後、最初の車検は純正マフラーで通しましたが、2回目はサイレンサー付きのキャブトンマフラーでOKでした。

ちなみに、キャブトンマフラーの語源は「Come And Buy To Osaka Nakagawa(大阪中川商店に買いに来てや)」の頭文字CABTONだそうです。

ドラッグバーハンドルに交換

ワイドな純正ハンドルから、いちもんじのヤンチャなドラッグバーハンドルに交換。2年ほど使っていましたが正直乗りづらく、その後ハーレーXL883の純正ハンドルに交換しました。ちなみに全体的にXL883に寄せている感は否めませんが、”いつかはハーレー”とかは1mmも思っておらず、ホンダのアメリカンだから愛でているということを申し添えておきます。ジャメリカンとか言わんといてや。

ハンドルグリップやブレーキフルードも交換。地味に苦労したのが、クラッチワイヤーの切り詰め。インナーワイヤーにつけるネジ込み式のタイコはなぜか抜けやすくて危なっかしく、マニュアル通りステンレス半田での固定は、ハンダがなかなか溶けなくて苦労しました。

割れたタイヤを交換

保管中に空気が抜けて割れてしまったタイヤを交換。なるべくプロに頼らずDIYで挑戦するスタイルなのですが、カチカチのリアタイヤは外れる気配がまったくなかったので、色々アドバイスしてもらってる近所のバイクショップにお願いしました。タイヤを外してもらい一旦持ち帰ったホイールを黒塗装し、最近流行りのアウトドア感ある雰囲気に寄せていきます。

ユーザー車検に挑む

大体ひと夏かけて思っていたスタイルに近づき、走行できる状態になったので、いよいよ車検に挑みます。
カブに関しても色々アドバイスしてくれる近所のバイクショップで車検の心得を教えてもらい、市役所で仮ナンバーを借りて飛騨高山の車検場へ。久しぶりの公道走行は「この先乗れるんか」という怖さがありましたが、のちにこれはハンドルポストの歪みによる乗りづらさが原因だったと気づきます。

初のユーザー車検は無事合格。廃車状態からの登録かつ住所が変わっていたために書類上ややこしいところはありましたが、思いのほか素人車検に対して親切に対応してもらえて心温まりました。

さらに理想を求めてカスタムは続く

カスタムが一段落し、車検に通ったことで満足して乗らなくなるのではないかと内心思っていましたが、遠出はしないもののけっこう乗り回していて自分でも意外です。このブログではある程度時系列をまとめていますが、その後フォークカバーを外してシャっとさせたり、フォークブーツを入れたり、リアサスを高めにして、クロスカブならぬシャドウクロス的な雰囲気を目指して少しづつカスタムを続けています。

今のところ車検場が一番の遠出だったのですが、自称五平餅通の私としては少しづつ行動範囲を広げて各地の五平餅を制覇したいと思います。しかし五平餅圏が遠出と呼べるのかはかなり微妙なところです。

乗り物のこと