【お知らせ】 HONDAさんの公式サイト内「原付クラブ」にて、カブに関する記事を担当させていただいています。

>>原付クラブ 山のくらし ときどきカブ by 今井ヨージイラストレーション

中古のボロいフュージョンをヤフオクで購入して整備する記録

中古のフュージョンを整備

約20年前にシャドウに乗っていた頃から、どうしても気になっていたのがホンダ フュージョン。1986年から1997年まで販売されたのち、2000年代初頭のビックスクーターブームによって2003年から2007年まで再販されていたという何気に歴史あるスクーターです。大抵の人の目にはフューチャーなのかレトロなのか判断に困る80年代デザインなのですが、ある時はとっつぁんのアシとして、ある時はDQNのビクスク若者のトレンディなバイクとして、ある時は住職の檀家周りの定番スクーターとして、いろんな顔を持ちながらビクスク界隈に君臨していました。発売からほぼ変わらない歴史あるスタイルと独特の存在感から、私の中ではカブと肩を並べる程の伝説のバイクとして長年一目置いていました。

そんなフュージョンも最後の生産から17年を迎え、さすがに中古の流通も減り部品の供給も怪しくなっているといいます。それでもなお一部の熱狂的なファンもいることから、程度の良い中古の相場は上がっているという噂も。手に入れるなら早いうちに…という焦りと収集癖によって気がつけばヤフオクに張り付いていました。

ヤフオクで中古のフュージョンを探す

で、私が把握した最近のフュージョンの中古相場は以下のような感じです。

  • 業者に整備されてすぐ乗れる程度の良いヤツ・・・20万〜40万円
  • 個人出品でそこそこキレイな現役のヤツ・・・10万円台
  • 業者販売のボロめで走行確認した現状販売・・・5万〜10万
  • 廃車寸前か部品取りのヤツ・・・5万以下

なお、年式が古いと走行距離メーターは交換されていたり1周2周している可能性があるのであまりアテにならないとされています。

私の場合、修理するのが娯楽というところがあるのでボロいのは上等ですが、さすがにエンジンやフレームがどうこうなっているのは避けたいところ。あまり気長に探していてもキリがないので、ヤフオクの評価や説明動画でそれなりに誠意ありそうな業者が出品していた即決65,000円のノーマルフュージョンを落札。陸送費用35,000円で関西から自宅まで届けてもらいました。

ボロいフュージョンが到着

第一印象としては「まずまずボロいが想定内、むしろ値段の割にはアタリか」というところで修理やカスタムを楽しめそうです。年式は多分1994年製で、何回コケたんかという事故レベルの傷や割れがあります。走行距離は約24,000kmですが、車体のくたびれ具合からして124,000kmという可能性も否定できません。ただ、エンジンの調子は良くそれなりに整備されていた印象もあります。
また、書類に記載されている前の持ち主の名前から察するに、安心と信頼のとっつぁんフュージョン。購入時点で意識していたのですが、DQN若者が弄り倒したメンテ無視のカスタムフュージョンよりも、とっつぁんが大事に乗っていたノーマルフュージョンには圧倒的安心感があります。
そんなとっつぁんが度々コケてボロボロになった末、家族に心配されてついに手放したフュージョンであるとするならば、数々の傷や割れにも愛着が湧いてくるので困ります。

ヤフオクで中古のフュージョンを購入

定番のGIVIスクリーンとハンドル交換

ビックスクーターブームの頃、フュージョンはゴリゴリにイキったカスタムをしてようやく若者ウケしていた気がしますが、近年ではそこそこちゃんとした大人がほぼノーマルで嗜むのが主流になっているように思います。そんな大人スタイルの定番がデカいウィンドスクリーン。実用面での快適さは当然のことながら、安定した見た目と格式高い存在感がたまりません。けっこういいお値段ですが、これは迷うことなく新品で購入しました。

どノーマルフュージョンを象徴するのが角々のカバーハンドル。ビクスクブーム時代はジジ臭くて秒でバーハンドルに交換されていたのですが、今は逆にこれがいい、というオーナーが多く高値で取引されているパーツです。購入時点でカバーハンドルという恵まれた状況なのですが、フュージョン新参者の私がしばらく眺めてみたところ「自分にはまだ早いな」という結論に。2003年以降の再販モデルに採用されていたタイプの純正ハンドルが意外に安く出品されていたので一旦そちらに交換しました。このハンドルはハンドルポストのソリッド感が好きですが、時々不意にカバーハンドルが恋しくなるのが悩ましい。

駆動系のジャダー対策

エンジンの調子はいいのですが、走り出しの加速時にガガガッっという振動とキュルキュル音が気になりました。スクーターの仕組みはさっぱりなのでネットで調べたところ、スクーターあるあるのクラッチ滑りが原因のようで、クラッチ周りの消耗品を交換するなどして解消しました。
クラッチ周りの部品は再販前と再販後で若干異なり、再販前の部品はすでに入手困難とのこと。再販後の中古クラッチ一式をヤフオクで購入し、その消耗品(クラッチシュー、スプリング類)を新品交換しました。ウェイトローラーやベルトは出品者が新品交換したとのこと。

その他、エンジンオイル、ミッションオイル、ブレーキフルード交換と、フレームの一部錆止めをしておきました。ブレーキフルードの確認窓も劣化してフルードが漏れていたため交換。

ウインカーキャンセルの修理他

フュージョン特有のウインカーキャンセルが機能していなかったので中古のウインカーキャンセルに交換。悲しいことに交換した部品も故障しており自動キャンセルは機能しないことが判明しましたがウインカースイッチのプッシュキャンセルが使えるようになったので十分です。
他、サイドスタンドを立てたままエンジンがかかるように配線を加工しました。

外装カウルの補修と塗装について

ボロボロの外装カウルをできるだけ補修。割れたりかけた部分をハンダゴテでのプラ溶接やプラリペアで補修。ここからパテで均してこだわりのオリジナルカラーで新車のように塗装するのを楽しみにしていたのですが、心のどこかでとっつぁんに使い込まれたボロさに味を感じるようになってしまったので困っています。

故スティーブ・ジョブズが「傷だらけのiPodは履き込んだジーンズみたいに尊いんやで」と豪語していた時「機械製品とジーンズは違うだろうが」と言いたくなったものですが今ならそれが分かる…!とは言っても自分が好きでも人から見たらただのボロいスクーター…なのでもうしばらく悩むかもしれません。

フュージョンの外装カウルの傷

乗り物のこと