丸太で作る農機具小屋「ユンボハウス」建設の記録

ユンボや農機, 山の開拓

丸太で作る農機具小屋

>>趣味のユンボを購入してからというもの、ユンボが雨ざらしにならないよう急いで小屋を作るつもりでいながら気がつけば数年経っていました。建機や農機は基本的には雨ざらしで大丈夫な気もしますが、私の心が痛むので本腰を入れて「ユンボハウス」の建築に取り掛かりました。

丸太ベースで小屋を設計

小屋を設計するにあたり、できるだけ大きく広く、簡単で、材料が少なく安価であることを重視しました。製材された木材を使ったほうが楽ではありますが、この時のために、敷地で伐採した杉やヒノキの皮を剥いでストック(←雨ざらし)してあるのです。角材より丸太のほうが加工が難しいのですが、逆にワイルドに作って多少傾いていてもそういうもんだと開き直れるメリットもあります。
そのようなわけで、困難を覚悟で考えた設計図の一部がこちら。

私のフワッとした建築知識上、柱間を4m飛ばすというのはけっこう大ごとで、それなりの梁の太さや本数が必要になります。直径約20cmの丸太2本で飛騨の積雪にも耐えられるのか不安がありますが、最悪、雪下ろしをしたり大雪の時だけつっかえ棒を入れてやりすごす覚悟で突き進むことに。

構造材となる丸太を刻んでみる

ノリノリで設計したものの、実はホゾ加工をやったことがなく、果たして見よう見まねでできるのか、ということで、実験という名のぶっつけ本番で一番難しそうな梁の接続部を刻んでみます。いろいろ調べたところ、ここに適した刻みは「腰掛け蟻継ぎ」。無謀かと思われましたが丁寧やればそれらしく仕上がりました。

丸太の腰掛け蟻継ぎ

叩き込むと抜けなくなるので途中まで接合したところ。このようにガッチリ接合され、右側の丸太がしっかりと左側の丸太の荷重を支え、抜けることもありません。

マルチツールとノミでほぞ穴を掘る

なんとかなる気がしてきたので、本格的にホゾ加工を開始。仕事の目処がついた夕方から暗くなるまで、1日に何本か刻むという超スローペースでコツコツと構造材を揃えていきます。

柱のホゾ。ここに梁が刺さって乗るイメージです。

ちなみに使っている道具は、チェーンソーやノコギリ、ノミ、金槌のほか、電動ドリルやマルチツールを発電機で使用。マルチツールは近年登場した電動工具なのですが、ホゾ穴を掘るときの横着ツールとして大活躍しました。

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丸太の表面を削るためディスクグラインダーも使いたかったのですが、この発電機ではパワー不足で動かず。

塩ビ管を型枠にした基礎工事

いきなりユンボで基礎穴を掘っているように見えますが、ここに至るまでかなりネチネチと穴の位置を出しています。敷地を有効に使うことはもちろん、敷地の入口から見たときに小屋がかっこよく見える角度か、といったことまで気になる性格なので時間がかかるのです。

鉄筋を溶接

本格的にコンクリートを使うのが初めてなので、どれほど強度を求めればいいのかサジ加減が分からないのですが、一応鉄筋を入れることに。なくても良いような気もしますが、人生において趣味の鉄筋コンクリートを扱ってみたかったのです。

水糸に合わせて垂直に鉄筋を立て、捨てコン(?)で基礎の底を固めます。強風で基礎ごと吹っ飛ぶことがないように、地中80cmから立ち上げています。このあたりはなんらかの建築的な規定によるものではなく、私のなんとなくな勘で決めていますが、おそらくオーバースペックな塩梅になっていて安心なのではないかと思います。

基礎の型枠に使うのは、ご近所さんが処分に困っていた直径25cmほどの古い塩ビ管。この手の基礎工事ではよく紙製のボイド管が使われるそうなのですが、紙製といいつつ、この太さになると意外と高いうえ、その辺には売ってないので断念しました。

塩ビ管をコンクリート型枠にした基礎工事
塩ビ管があっさり立っていますが、垂直に立てるため長時間ネチネチと格闘しています。
塩ビ管の型枠

(↑)塩ビ管の中はこのような状態。塩ビ管には縦に切れ込みが入れてあり、そこを養生テーブで塞いでいます。コンクリートの圧力で開かないよう塩ビ管をバンドや針金で締め、内側に離型剤となる灯油を塗って準備完了。
この工法は私の思いつきであるため、うまくいくのか不安ですがぶっつけ本番で挑みます。

塩ビ管にコンクリートを打設
運搬車でコンクリートを運ぶ

ちなみにコンクリートは全て手練り(←地獄)です。知り合いの左官屋さんから砂と砂利を1トンずつ購入。運搬車に半割ドラム缶を乗せ、その中で砂・砂利・セメントを練り、穴まで走行する人力ミキサー車を運用。
基礎1本につき、このドラム缶2杯ほど必要だったため、捨てコンを含めて十数回手練りして地獄を味わいました。

クロスラインレーザー墨出し器が便利

このあたりの土木作業に限らず、全般的に活躍したのがクロスラインレーザー墨出し器です。この手のものは高価なイメージがありますが、怪しいノーブランド品でも十分役立ちました。私が持っているのは赤色レーザーなので日中は見づらいのですが、少し高い緑のレーザーだと見やすいそうです。
ロックを解除して水平・鉛直を出すのはもちろん、ロックして長い定規の代わりとしても便利。

コンクリートの養生

想定外だったのは、のんびりと構造材を刻んでいる間に本格的に冬になってしまったこと。捨てコンの段階で一度コンクリートが硬化せずボソボソになってしまったため気温が低すぎるようです。仕方なく考えた作戦がこちらのテント。打設した日の夜は、この中で石油ストーブを焚いて温度が下がらないようにしました。予定では基礎3本づつコンクリートを入れて2ターンで終わるはずが、テントに基礎2本しか入らないため、3ターンの作業となりました。

ここまでやって、塩ビ管が外れなかったらどうしようかと思いましたが、バールでコジコジしたりして無事外すことができました。塩ビ管は型枠として今後も再利用できます。

塩ビ管で作った独立基礎
遺跡のような壮観な眺め。

ついに上棟。柱を鳥居状にして立てる

今回の小屋建築にあたって、シンプルな上棟の方法が成功のための最重要ポイントでした。設計段階で思いついたのは、予め組み立てた鳥居状の柱を二列立ち上げて仮固定しておき、そこに梁を乗せる方式。基礎のアンカーボルトに柱を接続し、梁を乗せてしてしまえば4本の柱で自立します。そのあと、三列目の鳥居を立てて残りの梁を架ければ基本構造は完成です。

(↑)まずは2本の柱を鳥居状に組み立てます。手前の角材は鳥居の足を仮固定するもの。鳥居の横棒はホゾとボルトでガッチリ固定しています。これを2セット組み立て。

ユンボで小屋の上棟

ユンボで鳥居を立ち上げ、倒れないように仮固定します。この時点で鳥居の足は基礎のアンカーボルトへ固定。

農機具小屋の上棟

写真を撮る余裕もありませんでしたが、ユンボで梁を乗せて打ち込み自立した状態になりました。ここが一番の難所だと思っていましたが、やはりホゾの角度が微妙に合わなかったりして調整に一苦労。
しかし、ここをクリアしたので一気に完成への確信が持てました。実はここまで来る自信がなかったので3列目の構造材はまだ作っていなかったのですが、安心して着手できます。

[コラム] 掘っ建て小屋について

素人が簡易的な小屋を作る場合、柱を穴に埋める掘っ建て方式が簡単です。穴に柱を立てて埋めるため1本づつが自立して、上棟が安全かつ簡単です。埋める部分に各種防腐処理を施せばかなりの耐久性があるということですが、私のイメージでは、どうしてもいつかはシロアリの餌になるような気がしてならず不採用に。必要以上に長い基礎を採用しています。

その後、日にちがけっこう空いていますが、3列目の鳥居を立てて最後の梁を乗せるところ。苦労した「腰掛け蟻継ぎ」が接合する瞬間です。このあたりの作業はさすがに一人では無理なので親父を動員しています。

”洗練されし自由の地に、いま堂々の完成。”(マンションポエム)

接合部は建築ボルトで固定。強風によって基礎が持ち上がったり梁が抜けることはまず考えられません。

屋根の垂木とガルバリウム波板

近場の建築屋さんから購入した角材約20本を屋根の垂木にします。おそらく、この角材は4年前に伐採してもらったこの敷地の杉を製材したもの。局地的な地産地消です。

タルキービスで垂木を固定

垂木の固定はタルキーネジ165mmを使用。少し短い気がしたので、角材に4cm程の大きな穴を空けておき、その中に埋め込む形でねじ込みます。
ちなみに、垂木と梁の接合部は、予め垂木ピッチに合わせて梁を切り欠いてあります。

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ガルバリウム波板を打ち付け

屋根材は、以前、薪棚などで使ったオーデュリン クラシックシートも候補だったのですが、送料の関係で通販では購入しづらくなってしまったため、ホームセンターで買える波板にしました。普通の塗装トタンより少し高くなりますが、私が信頼しているガルバリウム波板を採用。波板釘はガルバリウム傘釘を使用。私の聞きかじった知識によると、種類の違う金属同士が接触しているとなんらかの不思議現象で錆びやすいとのこと。

農機具小屋のガルバリウム波板
大袈裟な防塵マスクは花粉対策です。

構造材に補強を入れる

農機具小屋の補強

波板を張るため屋根に登っていると流石にグラグラしたので、風で倒壊しないうちに補強材をいれます。角材の余りや、小丸太の半割を要所にボルトやビスで固定。
私はこういう斜めの補強を全て「筋交い」だと思っていましたが、これは「頬杖」というそうです。

農機具小屋の基本形が完成

”山中に住まうという選ばれしものの至福”(マンションポエム2回目)

薄々感じてはいましたが、ちょっと背が高すぎました。構想段階はユンボがギリギリ収まる高さの予定だったのですが、どこで間違ったのでしょうか、1m近く高い気がします。屋根下で斧を振り上げて薪割りできる高さですが、雨の吹込みがすごそうなので、そのうち、だるま落としの要領で低くするかもしれません。

ひとまず、これで基本形は完成ですが、垂木の耐久性を高めるための「破風」や「鼻隠し」をつけたり、部分的にポリカの壁を作ったりして拡張していきたいと思います。こういった作業でDIYをスキルを上げ、最終的には人間のための山小屋をセルフビルドで作ろうと計画中。

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ユンボハウスの材料代について

できるだけ安価ということも重要なコンセプトなので、費用をまとめてみました。諸々の単価は安いのですが、量が必要なのでそれなりのお値段になったなというところです。

・ガルバリウム波板 28枚 36,000円
・垂木 18本 ・・・20,000円
・建築金物、ドリル刃など・・・約20,000円
・砂と砂利2トン・・・19,000円
・セメント8袋・・・2,700円
・鉄筋・・・2,800円
・防腐剤・・・1000円
 【合計 約102,000円】

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